グリーンマイルについて【ネタバレあり】
11日の夜に2回目の舞台グリーンマイルを観てきました。
映画も小説も知らずに丸腰で臨んだ1回目と違い、今回は時代背景など少し理解を深めてから見ました。
1回目観てから考えたこと、2回目を観て思ったことなど半分備忘録として、今の自分の気持ちを残したくて・・書こうと思います。
なので、すみません、今回はネタバレしています。
まだ観ていない方は引き返してくださいませ。。。
1回目の公演を観てから、パンフレットなどを読んで、自分でも時代背景などを調べたりして、いくらかは自分の中で咀嚼できた部分があったりしました。
それらのことを少しずつ書いていきたいと思います。
(でも、2回目までに見ようと思っていた映画は見られませんでした。やっぱり衝撃的な内容なので、どうしても観る気になれなかった…。)
1回目の公演を観た後、私は見事ロスに陥ってしまい、こんな文章を書きました。
「もうなんだか知らないけど切なくて仕方がない・・。
舞台だと、作品自体への想いもあるし、もちろんシゲちゃんへの想いもあって、
自分の中で何がどうなってこんなに切ないのかがよくわかりませんw」
2回目の公演を観て、その切なさの原因の一つがわかった気がしました。
私にとってのそれは、「コーフィーの存在感とその無垢さ」
これです。
コーフィーは大きな体で、十分な大人なんだけれど、発する言葉はどれも子供のように純粋無垢で・・
また彼の運命の全てを受け入れるようなところ、ある種の諦めみたいなものがそれを強調しているように思えます。
黒人への人種差別が日常だったこの時代に、どれほどの辛い過去があったのか
それは体中の傷と、すぐに忘れてしまうという性質が物語っている。
辛いことは忘れてしまわないと生きていけない・・そんな状況が日常だったのかもしれない。
コーフィーは自分のつらい経験を記憶から削除してでもずっと無垢なままで。
事件の真実が分かっても、横たわるのは袋小路に入ってしまったような閉塞感で、何をどうやっても、どうにも変えることができない無力感。
ポールとコーフィーにある種の絆が生まれていたからこそ、この無力感が更に悲しい。
2人が車の荷台に乗って語り合うシーン。
コーフィーの無実を確信して、「事件を思い出して・・」と畳み掛けるポール。
でもコーフィーは何も思い出せない。
その時に言った一言。
「ボス・・風が気持ちいい・・」
子供みたいに無邪気で無垢で、そしてなんて悲しい一言!!
今こうして書いていても涙が止まりません。
処刑の前日、ポールとコーフィー2人が座って話をするシーン。
とっても穏やかだけれど、2人とももう二度とこんな会話ができないのはわかっている。未来はないのだから・・・。
コーフィーはやっぱり自分の運命全てを黙って受け入れる・・
こんな無垢な人間が生きることを諦めなければならないような世界。
そんな世界に意味はあるのかな?
でも生まれてきたからには、死ぬまでそんな現実でも一生懸命に必死に生きるしかない。
看守の3人からはそのことが感じられる。
ポールはじめ看守3人が死刑について話し合うシーンはとても印象的でした。
私はブルータスの言葉が印象に残っています。
「俺はやるよ、仕事だから!」
出せる答えはそれしかないのです・・
その答えが出せないなら失業者に戻るしかない・・。
でも死刑制度について真剣に考えたことは無駄ではないはず。
ポールの「死刑を執行しているのは誰だと思う?」という問いに対して、
死刑制度を実行しているのはその制度を決めた民主主義の中に生きる全員だと自ら諭すポール。
このシーンはとても重要だけれど、私は全然まだ噛み砕けないでいます。
きっとこの部分についてはずっと考え続けても答えは出せないのかもしれない。
多分時代背景を考えると、黒人に対する冤罪なんて数多くあったのかもしれない。
まともに教育も受けさせてもらえていなければそれを晴らす手段も知らない。
白人による差別が日常的だったことでしょう。
パンフレットで中山さんが書いていた内容にとても心に残るものがありました。
「ポール達看守はその当時ではかなりの変わり者だったのではないか・・
むしろパーシーのようにひどい振る舞いをするのが普通なくらい」というニュアンスです。
このことに私はものすごく納得しました。
こんな時代に職を失う危険を冒してまでポールはじめ看守の3人がやったことの原動力はやっぱり正義感と助けたいという率直な気持ち、情熱なのかな。
私は加藤シゲアキくんのファンなのでシゲちゃんの思っていることや、話しなどは雑誌やラジオなど色々なところで聞く機会があるけれど、そんなシゲちゃんの中の情熱や正義感とポールの正義感が私の中でオーバーラップするような感じがありました。
それはとても暖かくて強いもので・・・。
だから観終わった後に私の中にシゲちゃんのものなのか、ポールのものなのかはわからないけれど、温もりが残ったのだと思う。
「弱い立場の人に寄り添いたい」と話していたシゲちゃん。
「自分の書いたもので、99人が批判しても一人でも『明日から頑張って生きよう』と思ってくれたらいい」と言っていたシゲちゃん。
処刑の前にコーフィーが昨晩見た夢の話しをします。
その内容はとても無邪気な楽しい夢で・・
現実とのギャップが一層物悲しい。
その後の決定的なポールの台詞。
2回目に観たとき、ポールはなかなかその台詞を言うことができなかった。
私にはとても感情が溢れているように思えました。
そしてその姿は私の中のとても深いところに刺さったような気がしています。
とここまで作品の感想を書いておいて、ここから先は本当に石を投げつけられても仕方のないようなことを書きます。でも書き残しておきたいのでどうか許してください。
2回目の公演はかなり前の真ん中の席でした。
すごくいい席で何回もシゲちゃんが目の前に立って台詞を言うのです。
作品に集中したいと思ってみるのですが、すぐそこにいるシゲちゃんの美しさにはやっぱり見入ってしまい、1回目ほど舞台全体に集中できなかった部分がありました。
それくらい凄味のある美しさでした。
舞台全体を通して1回目より2回目の方が、余裕が感じられて更に自然な雰囲気がありました。演技のノリもアドリブも、感情の込め方も・・。
これから千秋楽までどこまで進化していくのかとても楽しみだと思います。
どうか順調に千秋楽まで駆け抜けられますように・・。
これまで私の思ったことをつらつらと書き連ねてしまいました。
重たい内容の中で、不愉快に思われた方がいらっしゃったらすみません。
もし最後まで読んでくださった方がいたら、ありがとうございました。